「もしもし」発言と並んで当時の世論を賑わせたのが、いわゆる「田中直紀コーヒー事件」です。2012年1月31日、参議院予算委員会の審議中に大臣席から姿を消し、国会内の食堂・喫茶ロビーでコーヒーを飲んでいたのではないかと野党から厳しく追及されました。
これに対し、田中氏は「体調を崩しており、風邪薬を飲むために白湯(水)を求めて一時退席した」と釈明しましたが、委員長の許可を得ずに離席したプロセスや、目撃証言との食い違いが野党の格好の標的となりました。当時、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)や黎明期のTwitter(現X)では「居眠り」「サボり」「迷子」などと揶揄され、連日のようにネットミームとして消費される事態に陥りました。
さらに、北朝鮮による弾道ミサイル発射計画への対応において、PAC3(地対空誘導弾パトリオット)の展開地域や迎撃態勢に関する答弁が二転三転したことは、安全保障の観点から看過できない問題へと発展しました。結果として、2012年4月に参議院で問責決議案が可決。同年6月の内閣改造において、防衛大臣は学者で安全保障の専門家である森本敏氏(初の民間人防衛相)へと交代することとなりました。