救急隊が現場に到着した際、バイスタンダー(居合わせた市民)が「まだ息をしていたので見守っていました」と答える事例は非常に多く報告されています。呼吸のような動作が見えるため、「下手に心臓マッサージをして肋骨を折ったらどうしよう」「息をしている人を圧迫して悪化させたら責任を問われるのではないか」という心理的ブレーキが働くためです。
しかし、救命医療の現場における合言葉は極めてシンプルです。「普段通りの息ではない=心停止」。もし万が一、完全に心停止していなかったとしても、意識を失って反応のない人に胸骨圧迫を行って重篤な後遺症が残るリスクは極めて低く、法的な責任を問われることもありません。少しでも「おかしい呼吸だ」と迷ったら、躊躇せずに胸の中央を押し始める決断が命を救います。