2022年の公開からロングランを経て、いまや映画史に名を残す名作として語り継がれる映画『THE FIRST SLAM DUNK』。本作におけるスラムダンク映画主題歌の選定と劇伴の構築は、過去のTVアニメ版のフォーマットをそのまま踏襲するのではなく、原作者・井上雄彦監督の妥協なき美学によって完全に再構築されました。
オープニングを担当したThe Birthdayの『LOVE ROCKETS』は、鉛筆の線画が命を吹き込まれ、湘北5人が歩き出す伝説的な導入部と完全に融合しました。チバユウスケ氏のハスキーで生々しいシャウトと図太いベースラインは、これから始まる「命懸けのゲーム」の緊張感を冒頭数秒で決定づけました。
そして、エンディング曲および重要なTHE FIRST SLAM DUNK 劇中歌として歴史的な反響を巻き起こしたのが第ゼロ感 10-FEETです。公開当時の音楽プロデューサー陣の証言によると、井上監督は単なる「カッコいいロック」ではなく、「バッシュの摩擦音やボールのバウンド、選手の呼吸と干渉せず、それでいてゾーンに入る精神状態をブーストする音」を極限まで追求しました。10-FEETのTAKUMA氏は、監督からのフィードバックを受けながら約2年にわたりデモテープの解体と再構築を繰り返したと振り返っています。
静寂と爆発が交錯するゲームのクライマックス、無音の演出から『第ゼロ感』の重厚なリフが劇場全体を包み込む瞬間、観客は映画館にいることを忘れ、本物の体育館で激闘を目撃しているかのような錯覚に陥りました。この音響体験が口コミを爆発させ、公開から時間を経た現在もストリーミング再生回数が伸び続ける異例のロングヒットにつながっています。