ネット上のQ&Aサイトやデザイン掲示板では、フリー素材の権利関係について危険な誤解が放置されています。ここでは実務上で特に注意すべき3つの俗説を検証します。
誤解1:「少しトリミングしたり色を変えたりすれば、自分の著作物として扱える」
これは法的に明確な誤りです。既存のイラストに軽微な加工や色の変更、反転処理を施したとしても、元画像の「翻案権」「同一性保持権」は原著作者に留まります。元の特徴を直接認識できる状態での改変は二次的著作物の作成にあたり、原作者の規約で「加工禁止」とされている素材であればその時点で重大な契約違反となります。
誤解2:「生成AIにフリー素材を読み込ませて出力させた犬イラストは完全自由」
2026年現在、生成AIと著作権を巡る法規・判例は急速に整備されています。特定のクリエイターが描いた特定の犬イラストのみを追加学習(LoRA等)させて意図的に作風を模倣した画像を商業利用した場合、著作権の「依拠性」と「類似性」が認められれば権利侵害に問われるリスクが法務実務上極めて高まっています。
誤解3:「個人が飼っている愛犬の写真なら、他人のイラストを真似てトレスしても問題ない」
構図やポーズ、デフォルメ表現の独自性が高いイラストをそのままなぞるトレース行為は、単なる写真の模写と異なり「表現の盗用」と判断される可能性が高い行為です。他者のイラストを参考にする際は、構図を丸写しにするのではなく、複数の実物写真から骨格を観察して自己の表現に昇華させる姿勢が不可欠です。