建築現場で日常的に使われる「やらず(遣らず)」という言葉は、対象物が倒れたり動いたりするのを「行かせない(やらない)」ように食い止める突っ張り棒を意味する伝統的な建築用語に由来します。足場が風圧や偏荷重で外側へ倒れ込むのを防ぐため、斜めにしっかりと踏ん張らせる支柱そのもの、あるいはその構造を施した足場を「やらず足場」と呼びます。
ここで多くの人が疑問に抱くのが、「やらず足場」と「控え足場」の違いです。実務上はほぼ同義語として扱われるケースも多々ありますが、厳密なニュアンスには明確な区分が存在します。
「控え(控え足場)」は、主足場の安定を図るために横や斜めに設ける補助的な骨組み全体の総称です。一方の「やらず」は、その控え構造の中でも特に「単管パイプを斜めに突っ張って倒壊を阻止する部材・突っ張り」に焦点を当てた現場発祥の呼び名です。つまり、広義の控え足場の中に、やらずと呼ばれる斜材補強が含まれていると理解すると構造が明快になります。