着ぐるみバイトの経験者が口を揃えて語るのが、内部の圧倒的な過酷さです。着ぐるみのヘッドやボディは、ウレタンフォームや厚手のボア生地、強化プラスチックで作られており、高い保温性と気密性を備えています。外気温が25度前後の過ごしやすい日であっても、内部は瞬く間に40度以上・湿度80%を超えるサウナ状態へと変貌します。
さらに現場を苦しめるのが「視界と呼吸の制限」です。外部を確認できるのはキャラクターの口元や目の部分に施された数センチ四方のメッシュ窓のみであり、足元の段差や小さな子どもの接近を目視することは極めて困難です。自身の吐息がヘッド内に充満することで軽度の酸欠状態に陥りやすく、初心者の場合は閉塞感からパニックを起こす事例も少なくありません。
こうした身体的負荷を軽減するため、現場では綿密な着ぐるみバイトの熱中症対策が義務付けられています。標準的な現場運用では「20分〜30分稼働、30分〜40分休憩」という交代制が敷かれ、冷却ベスト(保冷剤を内蔵した専用ベスト)の着用や、休憩ごとの経口補水液の摂取、塩分チャージが徹底されます。実稼働時間が1日あたり計2〜3時間程度に抑えられているのは、安全管理上の絶対的な防衛ラインだからにほかなりません。