徳島を訪れたなら外せない二大巨頭が、全国的な知名度を誇る徳島ラーメンと阿波尾鶏です。しかし、これら定番グルメを十全に楽しむためには、表面的なガイドブック情報では見落とされがちな「系統の差異」や「肉質の特性」を把握しておく必要があります。
まず、徳島ラーメンは一括りに語られがちですが、実際にはスープの色と風味によって「茶系(黒系)」「黄系」「白系」の3系統に明確に分かれています。
発祥とされる白系は豚骨スープに白醤油などを合わせたあっさりとした元祖の味わいであり、小松島市周辺に名店が点在します。黄系は鶏ガラや野菜を合わせた澄んだスープが特徴で、中華そば本来の優しい滋味が際立ちます。そして全国にその名を轟かせた茶系は、濃厚な豚骨出汁に濃口醤油だれを合わせ、甘辛く煮込んだ豚バラ肉と生卵をトッピングするスタイルです。地元では「ラーメンをおかずに白米を食べる」のが鉄則であり、甘辛いスープは飯の友として設計された歴史を持ちます。現場の評判でも、「生卵をどのタイミングで崩すかによってスープのコクが劇的に変化する」と、熱心なリピーターの間で独自の作法が語り継がれています。
一方、地鶏として全国トップクラスの出荷量を誇るのが阿波尾鶏(あわおどり)です。徳島県畜産研究所が長年の歳月をかけて軍鶏(シャモ)の血統を掛け合わせ開発したこの地鶏は、80日以上かけて丹念に平飼い飼育されます。その最大の特徴は、低脂肪でありながら適度な歯ごたえがあり、噛むほどに溢れ出すグルタミン酸とアスパラギン酸の豊かな旨味にあります。
名物料理としては、豪快に炭火で焼き上げる「骨付きもも焼き」や、素材の良さがダイレクトに伝わる「たたき(表面を炙った刺身風)」、さらに旨味の溶け出した出汁を吸わせる「水炊き」が挙げられます。徳島市内の専門店料理長は取材に対し、「阿波尾鶏の真価は皮と肉の間の脂のキレにある。ブロイラーとは比較にならない芳醇な香りと、硬すぎず柔らかすぎない絶妙の弾力を体感してほしい」と語っています。