浅田真央の代名詞といえば、世界中のスケートファンを魅了したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)だ。リスクを恐れず、ショートプログラムとフリースケーティングの両方で大技を組み込む姿勢は、冒険心と純粋なアスリート精神の象徴だった。完璧に踏み切った瞬間の滞空時間と美しさは、今見返しても息をのむ。
対するキム・ヨナは、極めて高いスピードから繰り出される教科書通りのジャンプと、圧倒的な出来栄え点(GOE)を稼ぎ出す完成度で世界を制した。『死の舞踏』や『シェヘラザード』で見せた細部まで計算し尽くされた表現力は、審判員をぐうの音も出させない凄みがあった。対照的なふたりのアプローチは、フィギュアスケートにおいて「美しさとは何か」「強さとは何か」という根本的な問いを世界中に突きつけ続けた。