「なぜ突然飲まなくなってしまったのか」という疑問に対し、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」や小児医療の臨床現場では、赤ちゃんがミルクを飲まない理由には複数の明確な生理的・環境的要因が存在することが指摘されています。赤ちゃんが口をつけないとき、体内や知覚には大人には見えにくいダイナミックな変化が生じています。
代表的な要因としてまず挙げられるのが、乳首の形状や素材に対する違和感です。シリコーンゴムの硬さや天然ゴムの匂い、乳首のカット形状(丸穴・スリーカット・クロスカット)によって、口の中でのミルクの広がり方は大きく異なります。また、乳首の劣化によって流量が変化したり、吸う力に対してミルクが出すぎたり少なすぎたりすると、赤ちゃんは強いストレスを感じて哺乳瓶拒否を起こします。
さらに見逃せないのが、赤ちゃん特有のミルクの温度の好みや味覚・嗅覚の敏感さです。調乳後の温度がわずかに冷めたり、逆に熱すぎたりするだけで受け付けなくなるケースは日常茶飯事です。調乳水の銘柄変更や粉ミルクのロットによるわずかな風味の違いを察知する赤ちゃんも珍しくありません。体内の不快感として、げっぷが胃の幽門付近に残っていて胃圧が高まっている場合や、軽度の便秘による腹部膨満感も、哺乳意欲を著しく低下させる大きな引き金になります。