InstagramやTikTokをはじめとするソーシャルメディア上で、吸い込まれそうな深い深緑色を湛えたソフトクリームの動画が何百万回と再生されています。「お茶屋が本気を出した超濃厚な味わい」と称されるこれらの逸品は、なぜこれほどまでに人々を惹きつけてやまないのでしょうか。
最大の秘密は、熱を加えると瞬時に退色し香りが飛んでしまうデリケートな抹茶を、ソフトクリームのベースミックスへ極限まで練り込む高度な乳化・温度管理技術にあります。従来の製菓用抹茶は熱処理による変色を防ぐために銅クロロフィリンナトリウムなどの着色料を添加することが一般的でした。しかし、現在支持を集めている名店は、独自開発の冷却工程により、茶葉本来の鮮烈な色調と揮発性の高いアロマ成分をそのまま閉じ込めることに成功しています。
現場を訪れると、ひと口食べた瞬間に広がるのは単なる「砂糖の甘さ」ではなく、口腔内を満たす豊かな覆い香(おおいか)と、舌の上でじんわりとほどける上質なアミノ酸の旨味です。ただ苦いだけの加工品とは根本から異なる、茶道の世界に通じる本格的な調和が体験できる点こそ、熱狂的なリピーターを生み出す最大の理由となっています。