インターネット上の掲示板やSNSでは、昔から画面が黄色味を帯びている個体を揶揄する「尿液晶(にょうえきしょう)」という俗称が用いられてきました。「黄色い個体はハズレを引かされた証拠であり、初期不良だから交換してもらうべきだ」という言説が今なお散見されます。
しかし、ディスプレイ工学の観点から言えば、現代のiPhoneに用いられているOLEDパネルは製造サプライヤー(Samsung Display、LG Displayなど)ごとにサブピクセルの発光特性や色温度の基準キャリブレーションにわずかな個性があります。さらにAppleの出荷検査基準では、D65(6500K)を目標値としつつも、人間の目が最も自然光に近いと感じる範囲内で広角な許差を設けています。つまり、青白く発色する端末が「アタリ」で黄味がかった端末が「故障」という見解は、現代のテクノロジー事情においては完全な誤解です。
また、「一度有機ELが緑色になったが、叩いたら接触が戻って直った」という武勇伝もネット上に遺物のように残っています。しかし、これは剥離しかけている導線が偶発的に接触しただけの極めて危険な状態です。内部で微細なスパークやバッテリーへの負荷を引き起こし、基板全損や発熱事故へと発展する恐れがあります。画面表示系ハードの物理的変色を「外部からの衝撃」や「自力での圧迫」で修復しようとする行為は絶対に避けてください。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
ディスプレイの変色に遭遇した際、どのような処置を下すべきかはユーザーの端末保有方針や予算によって明確に分かれます。編集部では現場の取材データに基づき、以下の選別ラインを推奨します。
▼「Apple公式修理(正規サービスプロバイダ含む)」を選ぶべき人
・AppleCare+に加入している人(3,700円ポッキリで新品同様の純正パネルに戻るため、非正規を選ぶ理由がない)
・現行モデルまたは購入から1〜2年以内の高年式機種を使っており、将来的に中古買取や下取りへ高値で出したい人(非正規部品のアラート表示が出ると査定落ちのリスクがある)
・色校正(写真現像やデザインワーク)をiPhone上で厳密に行うクリエイター
▼「街の登録修理店」や「買い替え」を検討すべき人
・発売から4年以上が経過した旧世代モデルを使用しており、公式修理代(4万円以上)が端末の中古実勢価格を上回ってしまう人
・バックアップを取っておらず、何よりも即日・数時間以内でデータを消さずに画面を復旧させたい人
・残債の支払いが終わっており、修理代に高額を投じるくらいなら最新世代へ機種変更する資金に回したいと考えている人