ソーシャルメディア(XやYahoo!知恵袋)の投稿や医療相談掲示板を分析すると、しつこい咳に苦しむ患者の生々しい叫びが浮き彫りになります。
「風邪の熱は3日で下がったのに、咳だけが4週間止まらない。市販の咳止めシロップを瓶ごと飲んでも一時しのぎにしかならず、夜中に激しく咳き込んで肋骨にヒビが入った」(30代会社員・男性)
「周囲から『まだ風邪が治っていないのか』と白い目で見られるのが精神的につらい。内科で処方された風邪薬を飲み続けたが効かず、呼吸器内科へ行ったら一発で咳喘息と診断された」(40代公務員・女性)
こうした体験談に共通しているのは、咳が治らない時の市販薬の選び方に関する誤解と限界です。ドラッグストアで販売されている総合感冒薬には、解熱鎮痛成分、抗ヒスタミン成分、鎮咳成分、去痰成分が複合的に配合されています。しかし、熱も鼻水も治まっている段階で総合感冒薬を連用することは、肝臓や腎臓に不必要な代謝負担を強いるだけでなく、抗コリン作用による口渇や尿閉、気道分泌液の乾燥を招き、かえって咳反射を悪化させるリスクを孕んでいます。
どうしても受診までの応急処置として市販薬を用いる場合は、総合薬ではなく、気管支拡張成分(メトキシフェナミン等)を含む鎮咳去痰単独薬や、麦門冬湯(ばくもんどうとう)などの漢方薬を選択するのが合理的です。ただし、これらはあくまで一時的な対症療法に過ぎず、炎症の根本原因を断つものではないことを肝に銘じる必要があります。
また、夜間に咳が止まらない対処法として、家庭内で即座に実践できるフィジカルケアも重要です。横臥位(完全に平らな状態)で眠ると鼻汁が咽頭へ落ち込む後鼻漏や胃酸の逆流が生じやすくなるため、クッション等を用いて上体を15〜30度程度高く保つことが発作軽減に寄与します。室内の湿度を50〜60%に維持し、温かい白湯やハチミツを含んだ水分を少量ずつ摂取して咽頭受容体の過剰興奮を鎮める工夫が有効です。