歴代の裁判記録を紐解くと、元大統領本人が直接的な不正に関与したケースのみならず、親族(子ども・兄弟)や長年の知人による利権介入・不正蓄財が政権崩壊の決定打となった事例が極めて目立ちます。
金泳三政権では「小統領」と呼ばれた次男・金賢哲氏が韓宝鉄鋼スキャンダルに絡むあっせん収賄で逮捕。民主化の象徴であった金大中政権においても、3人の息子(弘一・弘業・弘傑)全員が企業からの裏金受領容疑で相次ぎ起訴され、「トリプル・クラウン」と揶揄される痛烈な批判を浴びました。
さらに、朴槿恵前大統領を罷免へと追い込んだ2016年の弾劾劇は、40年来の知人である崔順実(チェ・スンシル)氏による国政介入および財閥への資金拠出強要が発端でした。憲法裁判所は2017年3月、「国民の信託を重大に裏切った」として裁判官全員一致で罷免を決定。憲政史上初の大統領弾劾・罷免として、世界中に大きな衝撃を与えました。
また、李明博元大統領の場合、自動車部品会社「DAS(ダース)」の実質的オーナーとして約349億ウォンを横領した罪や、サムスングループから米国での訴訟費用を肩代わりさせた収賄罪などに問われ、大法院(最高裁)で懲役17年・罰金130億ウォン・追徴金約57億8000万ウォンの実刑判決が確定しました。血縁・地縁を重視する伝統的な儒教的ネットワークが、強大化した大統領権力と結合した瞬間に巨額の不正へと転落する構図が繰り返されています。