メスを使わずに劇的な変化を得られるとされる顔の脂肪吸引ですが、術後に「失敗した」と強い後悔を抱くケースには明確な共通項が存在します。日本美容外科学会(JSAPS/JSAS)の関連報告や数多くの臨床例を精査すると、主なトラブルは皮膚の表面的な異変と、組織バランスの崩壊に大別されます。
最も相談件数が多いトラブルが顔脂肪吸引の失敗によるたるみです。皮下脂肪を急激に減らした結果、脂肪という「中身」を失った皮膚が余り、風船の空気が抜けたようなしわや下垂が生じます。特に皮膚の弾力性が低下し始める20代後半以降の施術や、もともと皮膚が柔らかい体質の場合、脂肪だけを取り除くと重力に逆らえずにたるみが顕著化します。
次に深刻なのが、皮膚の表面が波打つ顔脂肪吸引の凸凹や、頬骨の下が不自然にくぼむ顔脂肪吸引のこけです。皮下脂肪は均一な厚みで残さなければならず、浅い層(真皮直下)を吸引管(カニューレ)で過剰に削り取ると、皮膚と筋膜が異常癒着を起こして凸凹が生じます。また、顔全体の立体感を考慮せずに脂肪を除去しすぎると、やつれた印象や病的な老化感を強調する結果に直結します。
さらに部位特有のリスクとして、以下の3大脂肪切除・吸引におけるミスマッチが深刻視されています。
① ジョールファットの失敗:口角の横から下部にかけて位置するジョールファットですが、取りすぎると口横に不自然な線(マリオネットラインの悪化)が刻まれ、皮膚の菲薄化(ひはくか)による小じわが目立つようになります。
② メーラーファットの失敗:頬骨周辺のメーラーファットを過剰に吸引すると、中顔面のボリュームが喪失して「ほうれい線が深くなる」「笑顔を作った際に不自然な引きつれが生じる」といった機能的・審美的障害が起こります。
③ バッカルファット除去の失敗:口の中の粘膜側からアプローチするバッカルファット切除は、適応を誤ると数年後に頬中央が大きくこけ、骨格が剥き出しになったような老け顔を招きます。一度切除したバッカルファットは自然再生しないため、最も慎重な判断が求められる部位です。