和菓子売り場を訪れた際、同じ棹物(さおもの)のサイズでありながら、小豆粒やこしあんを用いた黒羊羹に比べて白羊羹が2〜3割、場合によっては倍近く高価に設定されている事例は珍しくありません。この価格差を生み出している主因は、主原料である「白小豆(しろしょうず)」の圧倒的な希少性にあります。
農林水産省の生産統計や流通団体のデータによると、国内で生産される小豆全体のうち、白小豆が占める割合は全体の1%未満にとどまります。主な産地は北海道や兵庫県・京都府の丹波地域などに限られており、気候変動や病害虫に対して極めて繊細です。赤い小豆に比べて栽培に高度な管理技術が求められる上、天候不順による収量の変動が激しいため、市場取引価格は通常の小豆の数倍に跳ね上がる年が続いています。
さらに、製造工程における職人の手間も価格に直結しています。黒小豆で作るあんは強いコクと風味で仕上がりのブレをカバーしやすい側面がありますが、白小豆のあんはわずかな皮残りや火加減の失敗が、色合いのくすみや雑味として直接現れてしまいます。豆の選別から渋抜き、銅鍋での煉り上げに至るまで、熟練の和菓子職人が片時も離れずに神経を研ぎ澄ます必要がある点も、高価格を裏付ける決定的な要因です。