彼が残した音楽的功績は、日本の邦楽ロック史において極めて特異な位置を占めている。デビュー作「15の夜」で提示されたのは、大人の世界に対する理由なき反抗ではなく、痛切な孤独と自由への切望だった。続いてリリースされた「卒業」は、校舎のガラスを割るという強烈な歌詞世界で社会現象となり、若者たちのバイブルとして爆発的な支持を集めた。そして珠玉のバラード「I LOVE YOU」は、世代を超えて歌い継がれる不朽の名曲となった。
レコード会社 CBS・ソニー で彼を見出し、二人三脚で楽曲を作り上げた音楽プロデューサーの須藤晃は、尾崎の内に秘められた圧倒的な表現力と、それに伴う精神的な葛藤を誰よりも近くで見つめていた。須藤晃とのスタジオ作業の中で、尾崎豊は自らの命を削るようにして歌詞を紡ぎ出していったという。「若者の教祖」という巨大なラベルを背負わされたことで、音楽業界の期待と個人の苦悩の板挟みとなり、彼の心身は徐々に蝕まれていったのだ。