漫画の誇張どころか、炭酸抜きコーラの科学的根拠は現代のスポーツ科学において極めて明快に裏付けられています。着目すべきは「浸透圧」「糖の組成」「胃の滞留時間」の3点です。
一般的な炭酸入りコーラを運動中や直前に飲むと、炭酸ガス(二酸化炭素)によって胃が急激に膨張し、腹部膨満感やおくび(げっぷ)、さらには横隔膜を圧迫して呼吸困難や腹痛を引き起こします。気泡を取り除く最大の目的は、胃内容排出速度(Gastric Emptying Rate)を極限まで早めることにあります。炭酸という障壁を排除することで、液体は瞬時に小腸へと送り込まれ、血中に糖分が送り届けられます。
さらに特筆すべきは、コーラに含まれる糖分の構成です。コーラにはブドウ糖と果糖がバランスよく含まれる果糖ぶどう糖液糖、あるいは砂糖(スクロース)が高濃度(100mlあたり約10〜11g)で溶け込んでいます。異なるトランスポーター(SGLT1およびGLUT5)を介して腸壁から吸収されるため、単一の糖を摂取するよりも圧倒的な速度で糖分補給が行われます。これに中枢神経を覚醒させ疲労感を軽減するカフェインの薬理作用が加わることで、即効性の高い運動パフォーマンス持続効果が発揮される仕組みです。