世界遺産リストの全体像を俯瞰すると、ひとつの顕著な偏りが浮かび上がる。イタリア、ドイツ(54件)、フランス(53件)、スペイン(50件)と、上位5か国のうち4か国をヨーロッパ勢が占めているのだ。
この偏向には歴史的背景がある。ユネスコ条約が発足した当初、基準の多くが西洋の建築様式やキリスト教美術、都市計画をベースに策定されていたためだ。また、ヨーロッパ諸国は早くから専門の保護機関を整え、緻密な申請書を提出するノウハウを蓄積してきた。近年でこそアジアやアフリカ、南米の遺産を積極的に評価する取り組みが進むが、一度開いた層の厚さの壁は依然として厚い。