この店の心臓部とも言えるのが、店内奥で圧倒的な存在感を放つ「富士山溶岩石窯」だ。一般的な電気オーブンとは異なり、溶岩石から放出される強力な遠赤外線が、生地の水分を内部にしっかり閉じ込めながら一気に熱を通す。その結果、外側はパリッと香ばしく、中は驚くほどモチモチとした独特の食感が生まれるのだ。
まだ街が眠る夜明け前から窯に向かい、その日の湿度や気温に応じて生地の発酵時間を分単位で微調整するパン職人の手仕事には脱帽する。情熱的なタッチでキャンバスに向かった画家フィンセント・ファン・ゴッホのように、ひとつひとつの生地に魂を注ぎ込む姿勢こそが、一口噛むたびに豊かな旨味が溢れ出す極上の味わいを生み出している。