パーマとカラーを検討する際、美容師が口を揃えて提示する鉄則があります。それは「パーマを先にかけてから、カラーを入れる」という順序です。これには単なる感覚論ではなく、毛髪内部で起こる明確なケミカルメカニズムが存在します。
最大の理由は、パーマ剤による強烈な脱色作用にあります。ヘアカラーは、髪の内部(コルテックス)にあるメラニン色素を脱色しながら、酸化染料を結びつけて発色させています。しかし、その状態の髪にパーマを施すと、パーマの1剤に含まれるアルカリ剤と還元剤(チオグリコール酸やシステアミンなど)がキューティクルをこじ開け、せっかく定着したカラー色素を瞬く間に外部へと流出させてしまうのです。
現場のサロンワーク検証データによると、先にカラーを入れた髪へ直後にパーマ1剤を塗布した場合、わずか数分で髪色が2〜3トーン退色し、アッシュ系やグレージュ系などの繊細な寒色系カラーは赤茶けた濁った色味へと変貌します。「せっかくお金と時間をかけて染めたお気に入りのカラーが、パーマ液を流した瞬間にシンクへ消えていく」という事態は、まさにこの順番ミスによって発生します。
パーマを先に施術し、その後にカラーを行うプロセスをとれば、パーマによって変色するリスクそのものを回避できます。また、パーマ直後は毛髪のキューティクルが一時的に開きやすくなっているため、カラー染料がスムーズに浸透しやすいという副次的なメリットも働きます。特別なオーダーや頭皮の事情がない限り、「パーマ先・カラー後」が絶対の王道です。