日常会話では混同されやすい「単身者」「独身」「一人暮らし」ですが、制度上の焦点をどこに置いているかによって意味合いが根本から分かれます。
まず「独身」は、法的な婚姻関係を結んでいない状態を指す戸籍上の概念です。親と同居していようが恋人と暮らしていようが、現在婚姻関係になければ等しく独身に分類されます。これに対して「一人暮らし」は、ひとつの住居に1人だけで居住している私生活の実態を表す通称であり、法的な定義語ではありません。
一方、制度上で厳格に扱われる「単身者」とは、「生活の本拠において単身で独立した生計を営んでいる人」を指します。最大の違いは、既婚者であっても単身者になり得る点です。例えば、配偶者や子どもを残して遠方に転勤する「単身赴任」の場合、配偶者がいても赴任先のアパートでは単身者として扱われます。この際、実生活の拠点が完全に移る場合は住民票を赴任先へ異動する義務(住民基本台帳法)が生じ、世帯主が1人の独立した世帯として登録されます。
「独身だけど実家暮らし」の人は、独身であっても単身者ではありません。生活と住居が単独で完結しているかどうかが、単身者を見分ける境界線です。