声優・加藤英美里のキャリアを語る上で欠かせないのが、アニメ史に刻まれる特筆すべき当たり役の数々です。2004年に声優デビューを果たした彼女は、わずか数年で時代の寵児となりました。
ブレイクの決定打となったのは、2007年に放送された京都アニメーション制作の金字塔『らき☆すた』の柊かがみ役です。ツンデレ気質のツッコミ役という王道ヒロイン像を、軽快なテンポと親しみやすい声音で見事に具現化しました。オープニング曲「もってけ!セーラーふく」の大ヒットも含め社会現象を巻き起こし、加藤英美里はこの演技が高く評価され、2008年の第2回声優アワードで「新人女優賞」と「歌唱賞」のダブル受賞を達成しました。
しかし、彼女の真価は「かわいい少女声」だけに留まりませんでした。2011年の歴史的ヒット作『魔法少女まどか☆マギカ』で演じたキュゥべえは、アニメ業界全体に衝撃を与えました。愛らしい外見を持ちながら、一切の感情を持たずに論理だけで少女たちを追い詰めていくインキュベーターという異質の存在。加藤英美里はあえて感情の起伏を完全に排除したフラットな演技を徹底し、作中屈指の不気味さと存在感を創り上げました。「僕と契約して、魔法少女になってよ!」というセリフは、2010年代のアニメシーンを象徴する名フレーズとなっています。
さらに、『化物語』をはじめとする西尾維新原作の〈物語〉シリーズにおける八九寺真宵役では、主人公・阿良々木暦との丁々発止の漫才のような掛け合いを披露。「失礼、噛みまみました」という定番の言い間違いを含め、コミカルさと怪異としての切なさを同居させた唯一無二の表現力を見せつけました。
このほかにも、『バカとテストと召喚獣』の木下秀吉役のような中性的な役柄から、『オーバーロード』のアウラ・ベラ・フィオーラ役、『グランブルーファンタジー』のシェロカルテ役など、少年・少女・マスコットまでカバーする卓越した役幅を誇っています。