大阪のキタやミナミに詳しい人であれば、「アポロビル」と聞くと誰もが天王寺・阿倍野にそびえ立つ老舗大型商業ビル「きんえいアポロビル」を連想します。しかし、検索市場やディープな大阪愛好家の間では、長年にわたり「桜川アポロビル」というキーワードが独自の文脈で語り継がれてきました。
この噂がネット上で過熱する最大の要因は、「名称の混同」と「桜川という街のディープな歴史性」の相乗効果にあります。大阪市浪速区桜川は、かつて昭和のキャバレー、サウナ、興行スタジオ、味のあるスナック街などが密集していたエリアです。昭和の高度経済成長期からバブル期にかけて、ミナミの奥座敷として独特の夜の文化を形成していた背景から、「桜川にも怪しげで巨大なアポロビルが存在したのではないか」「表には出ない秘密のテナントビルがあるのではないか」という都市伝説的な尾ひれがつきました。
また、過去に桜川駅周辺に存在した同名・類似名の小規模テナントビルや興行関連施設、サウナ施設などの情報がインターネット黎明期の掲示板(2ちゃんねる等)で断片的に共有され、時代を経るごとに天王寺のアポロビルと情報が混線したことも拍車をかけました。怪しい噂の真相を突き詰めると、実在する特定のレトロ雑居ビルに対する好奇心と、歴史の中に埋もれた昭和ミナミの残影が融合した結果であると判明します。