ネットカルチャーを語る上で避けて通れない「高田健志 伝説」の誕生は、2010年代前半のニコニコ生放送にまで遡ります。当時、過激な配信スタイルで急速に求心力を高めていた加藤純一のリスナー(通称:信者衛門)やネット掲示板のユーザーたちが、高田健志の知名度を上げるという名目で他配信者の枠や掲示板をマルチポストで荒らし始めたのが直接の引き金でした。
その際、アメリカの有名なネットミームである「チャック・ノリス・ファクト(アクション俳優チャック・ノリスを人間離れした存在として誇張するジョーク)」を翻案し、あらゆる偉業や物理法則の超越を高田健志に結びつけるテキストが量産されました。脈絡のない場所へ「高田健志って誰?」という困惑と共に投下され続けた結果、実態を知らないライト層の間でも「高田健志=ネット上の絶対神」というパブリックイメージが定着していったのです。
本人のあずかり知らぬところで神格化が進むという極めて理不尽な状況でありながら、高田健志自身が持つどこか憎めないキャラクターと規格外のメンタルが相まって、単なるスパム荒らしを超えた一大ミームカルチャーへと昇華しました。