通州事件の真相に迫る|1937年の悲劇が日中戦争を泥沼化させた理由

通州事件の真相に迫る|1937年の悲劇が日中戦争を泥沼化させた理由

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親日政権の軍隊であった保安隊が、なぜこれほど過激な反乱に踏み切ったのか。その背景には、重層的な軍事情勢の混乱と偶発的な出来事が複雑に絡み合っていました。

第1の要因は、事件の約3週間前(7月7日)に起きた盧溝橋事件に関連する緊迫情勢です。北京周辺では日本軍と国民革命軍第29軍との間で衝突が続き、いつ全面衝突に発展してもおかしくない危機感が蔓延していました。冀東保安隊の兵士たちの間でも、自らが「漢奸(売国奴)」として同胞から攻撃されるのではないかという動揺が広がっていました。

第2の決定的な引き金が、日本軍機による誤爆事件です。7月27日、中国軍部隊を追撃中だった日本陸軍の航空機が、通州近郊に駐留していた保安隊の営舎を中国軍陣地と誤認して爆撃を敢行。これにより保安隊側に十数名の死傷者が出たことで、日本軍に対する不信感と怒りが一気に沸点に達しました。

第3に、「日本軍が敗北した」という偽情報の拡散が挙げられます。北京周辺での戦闘において中国第29軍が大勝したという誤報や宣伝が城内に伝わり、保安隊幹部や兵士らは「日本軍の後盾を失えば処刑される」「いま蜂起して中国軍に合流すれば英雄になれる」と誤認。これが一斉蜂起の決意を後押しすることになりました。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。