旅行計画を立てる読者から頻繁に寄せられるのが、「四条大宮の本店と木屋町店、どちらを予約すべきか」という疑問です。同じモリタ屋の屋号を掲げ、提供される牛肉の品質基準に差はありませんが、店舗コンセプトと空間体験には明確な棲み分けがなされています。
四条大宮の本店は、1階に直営の精肉精選店を併設し、地元民が普段使いの総菜や贈答用肉を買い求める生活動線に根付いた大型店舗です。店内はモダンな和風レストランの趣でバリアフリー設備も整っており、家族3世代での会食や、純粋に肉の旨味をコストパフォーマンス高く堪能する用途に適しています。
対する木屋町店の真価は、三条木屋町の高瀬川沿いから細い路地を入った先に広がる「静謐な別世界」にあります。大正から昭和初期の面影を残す数寄屋造りの建物、苔むした坪庭、鴨川を見晴らすロケーションは、まさに観光客が京都に夢見る情景そのものです。設えや仲居の立ち振る舞いを含めた「非日常の情緒」に支払う空間価値こそが木屋町店のアイデンティティであり、特別な会食やデート、接待であれば木屋町店の一択となります。