安倍川餅とは?家康命名の真相から信玄餅との違いまで徹底検証

安倍川餅とは?家康命名の真相から信玄餅との違いまで徹底検証

安倍川餅とは?家康命名の真相から信玄餅との違いまで徹底検証について分かりやすく解説いたします。詳細な分析をお届けします。

現代において安倍川餅を語る際、避けて通れない2大巨頭が存在します。それが、文化元年(1804年)創業の老舗「石部屋(せきべや)」と、戦後に安倍川餅を全国区のお土産へと飛躍させた「やまだいち」です。この2つの存在を知らずして、安倍川餅の全貌を捉えることはできません。

安倍川橋のたもとで時を止めた老舗「石部屋」の現場

静岡市葵区弥勒、旧東海道の風情を今に残す安倍川橋のたもとに、暖簾を掲げる「石部屋」があります。引き戸を開けると、香ばしい大豆の香りと共に、職人がリズミカルに餅を千切る音が耳に飛び込んできます。

取材時、長年通い詰める地元客が「ここの餅は、餅であって餅を超えた何かだ」と語った言葉が印象的でした。石部屋では、注文が入ってから茹でたての温かい餅を手際よくちぎり、上白糖を合わせた香り高いきな粉を手早くまぶします。もう半分は、丁寧に練り上げられた滑らかなこし餡で素早く包み込みます。出来立ての餅は驚くほど柔らかく、歯切れが良いのにコシがある。保存料を一切使わないため、賞味期限は「当日限り」。店内のイートインで供される緑茶と共に味わうつきたての一皿は、かつて旅人が味わった感動そのものです。

さらに石部屋を訪れたなら絶対に見逃せないのが、裏名物とも呼ばれる「からみ餅」です。甘いきな粉や餡ではなく、すりたての静岡産本わさびと醤油で食べるこの一皿は、ツンと抜ける辛味と餅本来の甘味が絶妙に調和し、酒の肴にもなる大人の逸品として熱狂的な支持を集めています。

静岡駅のランドマーク土産を確立した「やまだいち」の功績

一方で、旅行者が最も手軽に手に入れられるのが、昭和25年創業の「やまだいち」の安倍川餅です。戦後、東海道本線の復興とともに静岡駅の立ち売りからスタートした同社は、「日持ちのしない生餅を、いかにお土産として持ち帰ってもらうか」という課題に真っ向から挑みました。

特殊な密閉フィルム技術や脱酸素剤の導入により、常温で約1週間(7〜9日程度)の日持ちを実現。静岡駅新幹線改札内外の売店(グランドキヨスク静岡など)をはじめ、東名高速道路のサービスエリアなど至る所で販売されています。小分けされたトレーにきな粉餅とあんこ餅が美しく並び、個包装ごとに楊枝が添えられたパッケージは、職場へのバラマキ土産としても完成されたフォーマットを誇ります。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。