2008年4月にスタートし、テレビ東京系列の木曜21時枠を長年支え続けた『和風総本家』。放送回数は400回以上を数え、単なるバラエティ番組の枠を超えて「日本のものづくり文化をアーカイブする記録映像」としても高い評価を得ていました。それだけに、2020年3月の幕引きに対しては、ネット上でも「なぜ突然打ち切られたのか」と困惑の声が広がりました。
表面的な理由として挙げられたのは、放送開始から12年という節目での番組改編です。しかし、民放関係者への取材を重ねると、その背景には丁寧な番組制作ゆえの構造的限界が存在していたことが見えてきます。本作の代名詞といえば、地方の山奥や歴史ある町工場に数週間から数カ月単位で密着する職人ロケでした。「世界で見つけたMade in Japan」などの人気企画では海外ロケも頻繁に行われ、高品質な映像を撮るために膨大な制作費とマンパワーが投じられていました。
テレビ業界全体の広告費削減の波が押し寄せる中、クオリティを落とさずにこの取材体制を維持し続けることは年々困難を極めていました。さらに、名工と呼ばれる熟練職人の高齢化や工房の廃業などによって取材先の選定自体が難航し始めたことも、制作サイドにとっては重い足かせとなっていたのです。視聴率の急落による強制終了ではなく、「番組の魂である取材水準を維持できるうちに最高の形で幕を引く」という制作陣の苦渋の決断こそが、終了の核心でした。