一度は別れを告げた女性が、なぜ再び同じ男性を受け入れたのか。その裏には、奇をてらわない人間同士の距離感があった。離婚後も二人の交流が完全に途絶えたわけではなく、ふとした折に連絡を取り合う関係が続いていたという。六角が体調を崩した際や、人生の曲がり角に立ったとき、真っ先に頭に浮かんだのが気心の知れた彼女の顔だった。
歳月が流れたことで、妻の側にも心境の変化が生じていた。「若い頃は許せなかった彼のズボラさや無頓着さも、今となれば大した問題ではない」という大らかな諦観と愛着。完璧な夫であることを期待するのをやめ、ただ「一緒にいて心が安らぐ存在」として彼を捉え直したとき、途切れていた絆が再び繋がり始めた。復縁を持ちかけたのは六角からだったが、彼女の側にも「この人は私が面倒を見るしかない」という腹のくくりがあった。