インターネットの検索窓で話題に上る「モンキーハウスとは」、1960年代から1970年代を中心に、大韓民国京畿道の東豆川(トンドゥチョン)や議政府(ウィジョンブ)といった米軍基地周辺(基地村=キジムル)に設置された性病強制隔離収容施設を指す蔑称です。公的な登記簿や行政文書上は「洛陽療養所」などの名称が用いられていましたが、地元住民や米軍兵士、そして当事者たちの間では一貫してモンキーハウスと呼ばれていました。
この特異な名称が定着した理由には、当時の露骨な差別意識が反映されています。収容された女性たちが逃亡しないよう、窓や開口部には頑丈な鉄格子が張り巡らされていました。建物の中に閉じ込められた女性たちが、格子越しに外へ救出を求めたり手を伸ばしたりする様子を見た米軍兵士らが「まるで檻の中の猿のようだ」と嘲笑したことが呼称の直接のきっかけとされています。
設立の経緯を紐解くと、当時の冷戦構造と朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の国策が色濃く浮かび上がります。当時、在韓米軍の撤退を極度に恐れていた韓国政府は、米軍を引き留めるための環境整備として「基地村浄化運動」を展開しました。基地村で米兵相手の性風俗に従事する女性たちを「外貨を稼ぐドル箱」「愛国者」と持ち上げる一方で、米軍兵士の間で性病(性感染症)が蔓延することを防ぐため、徹底した身体検査と過酷な隔離政策を強行したのです。