笹と竹を語る上で欠かせないのが、数十年から100年以上の長い年月を経て突如として発生する「一斉開花と集団枯死」のミステリーです。
多くの植物は毎年花を咲かせますが、竹や笹の花を目にする機会は一生に一度あるかないかと言われるほど稀です。例えば、日本に広く自生するマダケの開花周期はおよそ120年、モウソウチクは約67年、笹の仲間であるスズタケなどは約40〜60年周期で花を咲かせると推計されています。
驚くべきは、地下茎で広範囲に繋がっている同一起源の個体群(クローン)が、地域全体で申し合わせたかのように一斉に稲穂に似た花を咲かせ、結実した直後に山一面の群落ごと枯死してしまう点です。開花によって膨大なエネルギーを使い果たした地下茎は腐敗し、かつての青々とした竹林や笹原が一瞬にして茶褐色の枯れ野へと変貌します。その後、落ちた種子や残されたわずかな芽から数十年をかけて次世代の森が再生していくという、壮大で神秘的な生命サイクルを持っています。