秋口から冬にかけてセブンのレジ前に漂っていたあの出汁の香りが、ここ数年でめっきり薄くなったと感じる消費者は少なくありません。実際、かつて全店規模で設置されていた開放型のレジ横什器鍋を設置する店舗は大幅に減少しています。この現象の背景には、コンビニ業界全体が直面する構造的な課題が存在します。
最大の要因は、深刻な人手不足に伴う店舗オペレーションの負荷軽減と、徹底した食品ロス(フードロス)の削減です。従来のレジ横おでんは、具材ごとに煮込み時間を緻密に管理し、煮崩れたものを廃棄し、こまめにつゆを補充・清掃するという膨大な手間を要していました。さらに、フタを開けた状態での衛生管理に対する顧客の視線が厳しくなったことも、業態変化を加速させました。
そこでセブン-イレブンが主力へ押し上げたのが、チルドコーナーで展開される「パウチパックおでん(おでん 1人前・2人前)」および店内レンジで温めて提供する密閉型カップ容器です。出汁と一緒に具材を密封・殺菌することで、保存料に頼らず賞味期限を大幅に延長。レジ横の風情を惜しむ声はあるものの、「いつでも均一な美味しさを買える」「持ち帰り時に汁がこぼれない」という実利的なメリットが支持を集めています。
現在、開放鍋で販売している取り扱い店舗は、オフィス街や駅前など回転率が極めて高い一部の店舗や、オーナーの方針で伝統的な演出を継続している店舗に絞られています。確実におでんを手に入れたい場合は、惣菜コーナーの冷蔵パウチ棚をまずチェックするのが近年のセオリーです。