愛媛県美術館が全国のアートファンから高い評価を受ける最大の理由は、地方公立美術館の枠を超えた傑出した所蔵品(コレクション)の質と量にあります。
なかでも西洋近代美術セクションでは、クロード・モネの『睡蓮』連作に関連する油彩画や、ポール・セザンヌ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ボナールといった印象派・ポスト印象派の巨匠たちの名作が収蔵されています。自然光を取り入れた落ち着いた展示空間で、世界的名画の筆致を間近に鑑賞できる贅沢な環境が整えられています。
さらに特筆すべきは、愛媛県松山市出身で「日本近代グラフィックデザインの先駆者」と称される杉浦非水(すぎうら・ひすい)の膨大かつ貴重なコレクションです。三越のポスターや絵看板、雑誌『東京パック』の表紙絵、日本初の地下鉄開通ポスターなど、日本の近代商業美術を牽引した非水の原画・資料が多数保管されており、デザイン史研究者からも聖地として注目を集めています。