山崎ナオコーラ氏の芥川賞候補作となった同名小説を、長編デビュー作『犬猫』で高い評価を得た井口奈己監督が映画化した『人のセックスを笑うな』。物語は、美術専門学校に通う19歳の無垢な青年・磯貝みるめ(松山ケンイチ)と、彼が惹かれていく39歳の非常勤講師・百合(永作博美)の不器用で切ない恋愛模様を描いています。
美大の自由でどこか退屈な日常のなか、百合の奔放な言動に翻弄され、純粋に恋に落ちていくみるめ。しかし、百合にはすでに年上の夫・猪熊(あがた森魚)が存在していました。さらに、みるめに人知れず想いを寄せる同級生・えんちゃん(蒼井優)や、良き理解者である友人・堂本(忍成修吾)といった豪華キャスト陣が織りなす関係性が、甘酸っぱくもほろ苦い青春の残酷さを際立たせています。
当時の日本映画界を牽引していた若手俳優たちと、成熟した大人の魅力を漂わせる実力派俳優が見事に融合し、説明過多なセリフを排した静謐な映像美が観客の心を捉えました。