日本アイドル史における最大の逆転劇として知られるのが、篠田麻里子のAKB48加入劇です。2005年、グループ結成時の「第1期メンバーオーディション」に挑むも無念の不合格。しかし芸能界への夢を捨てきれなかった彼女は、オープンしたばかりの秋葉原・AKB48劇場に併設されていたカフェスタッフ(通称「カフェっ子」)のアルバイトに応募し、劇場の裏方として働き始めました。
劇場に通い詰める初期ファンたちの間で、抜群のスタイルと親しみやすい笑顔を振りまく女性スタッフの存在は瞬く間に噂となりました。客足もまばらだった黎明期の劇場で、「あのかわいいカフェ店員は誰なのか」という問い合わせが運営側に殺到。ファン有志が自主的に集めた直筆アンケートや署名が、総合プロデューサーである秋元康の机へと届けられることになります。
ファンの声に動かされた秋元康は、彼女に極めて過酷な試練を課しました。それは「週末までのわずか4日間で既存公演全12曲の歌と振り付けを完璧にマスターすること」。睡眠時間を削り、深夜の劇場で血のにじむような自主練習を重ねた篠田は、見事にすべての課題曲を完遂。2006年1月22日、1期生から約1ヶ月半遅れて劇場公演デビューを果たし、公式に「AKB48初の1.5期生」という特例枠で正規メンバーへと電撃昇格を遂げたのです。