キンプリの海外進出が頓挫した根本的な要因を分析すると、個々のタレントの問題を超えた旧ジャニーズ事務所が抱えていたビジネスモデルの制度疲労に突き当たります。
長年にわたり同事務所は、熱心なファンによるCD複数枚買い、有料ファンクラブ会員の囲い込み、テレビ番組との強固なアライアンスによって莫大な利益を生み出す「国内特化型のガラパゴスエコシステム」を構築してきました。このシステムは日本国内において無類の強さを誇った反面、グローバルスタンダードであるストリーミング配信やYouTubeを活用した全世界へのプロモーションとは致命的なまでに相性が悪かったのです。
すでに世界を席巻していたBTSをはじめとするK-POP勢は、デビュー準備期間から多言語教育を徹底し、新曲リリースと同時に全世界のサブスクリプションサービスへ同時配信、SNSを活用したオープンな拡散戦略を取っていました。対照的に、当時のキンプリは楽曲のデジタル未解禁状態が長く続き、海外の音楽ファンが正規に楽曲へ触れる導線すら遮断されていました。事務所にグローバルマーケティングのノウハウを持つ専門部署や海外レーベルとの強力なネットワークが欠落していた点も、海外展開を「絵に描いた餅」に留まらせた構造的要因です。