言葉のニュアンスで最も混同されやすいのが、「呉越同舟」と「同床異夢(どうしょういむ)」の区別です。一見するとどちらも「一致していない者たちが一緒にいる」状況を指すように思えますが、両者の力学は正反対の構造を持っています。
呉越同舟は「心は敵対しているが、行動と利害が完全に一致している状態」を指します。一方、同床異夢は「同じ立場や組織にいながら、心の中の狙いや思惑がバラバラである状態」を指します。この構造的な差異と、関連する四字熟語や対義表現の比較を以下のマトリクスにまとめました。
また、呉越同舟の類語には、土地柄が離れて風習の異なる者同士が協力する「楚越同州(そえつどうしゅう)」や、同じ船に乗る者が助け合って渡河する「同舟共済(どうしゅうきょうさい)」があります。政党や派閥が細かな意見の相違を超えて大同につく「大同団結」や「共同戦線」も近接した概念です。
一方、対義語としては、同じ場所にいながら反発しあう「同床異夢」をはじめ、骨肉の争いを指す「呉越之争(ごえつのあらそい)」や、互いに憎み合って睨み合う「反目嫉視(はんもくしっし)」が位置づけられます。