日本テレビ放送網のエースとして君臨する水卜麻美は、親しみやすさと圧倒的な生放送対応力を武器に、局アナの概念そのものを書き換えた。情報番組の総合司会として制作の深い領域にまでコミットし、もはやアナウンサーの枠を超えた「番組のアンカー」として機能している。彼女の存在は、局にとっていかなるタレントよりも頼もしい防波堤だ。
一方で、テレビ朝日の弘中綾香が見せたのは、自己プロデュースと発信力を武器にした全く新しいアナウンサー像だった。率直な語り口とエッセイ執筆、SNSでの巧みなセルフブランディング。旧来の「清楚でおしとやか」という女子アナ像を軽やかに脱ぎ捨て、個のパーソナリティでファンを惹きつける手法を確立した。
だが、この二人が打ち立てた金字塔は、皮肉にも後輩たちへの高いハードルとなっている。「水卜のような安定感」と「弘中のような突破力」を同時に求める局側の要求は、若手アナウンサーたちに過度な重圧となってのしかかる。