姿美千子さんを語るうえで欠かせないもう一人の重要人物が、実の妹である演歌歌手の姿憲子さんです。姿憲子さんは、1970年に日本テレビ系ドラマ『姿三四郎』の主題歌を歌い上げ、シングルが累計100万枚を超えるミリオンセラーを記録した実力派歌手として知られています。
姉の姿美千子さんが大映の清純派女優として不動の地位を築いていた当時、妹の憲子さんも姉の背中を追うように芸能界入りを果たしました。二人の芸名である「姿」の名字は、姉の美千子さんが映画界で築いた清廉なイメージを引き継ぎつつ、姉妹で昭和のエンターテインメント界を牽引する原動力となりました。
芸能界の姉妹関係では、時に成功に対する嫉妬やライバル心が軋轢を生む事例が少なくありません。しかし、姿姉妹の間にはそうした不協和音は皆無でした。憲子さんが歌手として大ブレイクを果たした直後、姉の美千子さんは結婚によって潔く引退したため、活動領域や時期が過度に競合しなかったことも幸いしました。
引退後も姉妹の交流は途切れることなく続いており、妹の憲子さんは折に触れて「姉は私にとっていつまでも憧れの存在であり、人生の素晴らしいお手本」と関係者に敬意を語っています。互いの自立した領域を侵さず、家庭人とアーティストとして尊重し合う姿勢は、現代の家族関係にも通じる理想的な心理的バウンダリーが保たれていた証左です。