ヒットの起点となるのは、やはり縦型ショート動画だ。かつてのようにアルバムをじっくり聴く時代ではない。サビの最もエモーショナルな15秒間が、ユーザーの手によって切り取られ、拡散していく。
特に「歌詞動画」と呼ばれるジャンルでは、当事者同士にしか伝わらないような微細なニュアンスが重視される。「既読スルー」「送信取り消し」といった現代特有の記号が散りばめられたフレーズは、SNS上での「匂わせ投稿」のBGMとして最適だ。直接言えない「好き」の代わりに、音楽をタイムラインに流す。そんな新しいコミュニケーションの形が定着している。