家庭における平尾誠二氏は、グラウンドで見せる圧倒的なオーラとは一味違う、温かくも芯のある父親だった。昂大氏に対して、決して「ラグビーをやれ」と強制することは一度もなかったという。常に「自分が心から情熱を傾けられるものを見つけろ」「自分の人生のキャプテンは自分だ」という教えを一貫して伝え続けていた。この自主性を尊重する教育方針こそが、昂大氏の自由で伸びやかな感性を育む土壌となった。
闘病生活が始まった時期においても、父と息子の間には深い信頼と愛が流れていた。病魔と戦う凄絶な日々の中でも、誠二氏は息子の前で決して弱音を吐かず、常にユーモアと気品を失わなかった。父の最期まで毅然とした生き様を目に焼き付けた昂大氏は、「自分らしく生きることこそが、父に対する最大の恩返しである」と確信するに至った。