首都圏の渇水報道をめぐり、最も広く信じ込まれている典型的な誤解が「利根川水系が干上がると神奈川県も水不足になる」という言説です。テレビの全国ニュースで「首都圏のダム貯水率が低下、利根川水系で取水制限」と報じられると、神奈川県民も慌てて節水に走るケースが目立ちます。しかし、これは地理・インフラ構造を完全に無視した誤解です。
東京都の水道水の約8割は利根川・荒川水系に頼っていますが、神奈川県の自己水源率は約90%を超えており、その供給源は県内を流れる相模川・酒匂川水系でほぼ完結しています。東京都が取水制限に入ったとしても、丹沢山系や富士山麓に雨が降っていれば、神奈川県の給水体制には何ら支障が生じません。
では、真に警戒すべき「神奈川県水不足理由」とは何でしょうか。盲点となるのは以下の2つの局地要因です。
一つ目は、丹沢山地および山梨県東部(相模川源流域)に特化した局所的降雨不足です。太平洋沿岸を台風が通過しても、丹沢の稜線に雨雲がかからなければダムへの流入量は伸びません。二つ目は、冬期の降雪量不足です。山中湖周辺や道志山塊に積もる雪は、春先にゆっくりと溶け出してダムを潤す天然の貯水池となりますが、暖冬によって雪が降らない冬は、初夏の渇水リスクを確実に押し上げます。渇水情報神奈川をチェックする際は、全国ニュースの抽象的な表現に惑わされず、相模川上流域のピンポイント降水量に目を向ける必要があります。