境内へ足を踏み入れる瞬間、最初に目にする建造物を観察すれば、そこが寺か神社かは瞬時に判別できます。もっとも象徴的な境界線が、「鳥居」と「山門(さんもん)」の役割の違いです。
神社に必ず存在する「鳥居」は、人間が暮らす俗界と、神様が鎮座する聖域を隔てる結界(ゲート)です。朱色や白木、石造りなど形状は多岐にわたりますが、鳥居をくぐる行為そのものが「神域へ入る許可を得る」儀式を意味します。一方、寺院の入り口にそびえる「山門」は、仏道修行の場へ入るための関門です。多くの場合、瓦屋根を備えた立派な木造建築であり、仏敵の侵入を防ぐために左右に金剛力士像(仁王像)が安置されています。
建造物の名称にも明確なルールが存在します。神社の本殿や拝殿は「社殿」と呼ばれ、お寺の中心的な建物は「本堂」や「金堂」と呼ばれます。さらに、敷地内のシンボルにも着目してください。
神社には狛犬や手水舎、神木があり、神の宿る依り代(よりしろ)として鏡や御幣(ごへい)が祀られています。これに対してお寺では、お線香を焚く巨大な常香炉(じょうこうろ)が置かれ、本堂の奥には釈迦如来や阿弥陀如来、観音菩薩といった具象的な「仏像」が安置されています。目に見える仏の姿を拝むのが寺院、目に見えない自然や祖先の御霊を祀るのが神社という視覚的な違いを掴んでおけば、見誤ることはありません。