サウンドトラックの中でも、物語の重要局面で観客の感情を最高潮へと導いたのが、澤野弘之氏が手掛けたボーカル入りの劇中挿入歌です。中でも「Möbius」と「TRACER」の2曲は、作品を語る上で欠かせないマスターピースとなっています。
1. 亡霊の影と重厚な叙事詩「Möbius」
アバンタイトルおよび物語のオープニングシークエンスを支配する「Möbius」は、ボーカルにmpi、Laco、Benjaminを起用。劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のメインテーマのモチーフを巧みにサンプリング・再構築したメロディラインが特徴です。アムロ・レイとシャア・アズナブルの意志を継ぎ、同時にその呪縛に苦悩するハサウェイの宿命を、重厚なコーラスワークで見事に描き切っています。
2. 夜間戦闘の緊迫感を加速させる「TRACER」
ダバオの夜間市街地戦において、ペーネロペーの爆音とクスィーガンダムの飛翔が交差するクライマックスで流れる「TRACER」(ボーカル:Benjamin)。アッパーな電子ビートと荒々しいロックサウンドが融合したこのトラックは、戦火に巻き込まれる市民の恐怖と、モビルスーツ同士の圧倒的なスピードバトルを完璧なグルーヴでシンクロさせ、劇場のボルテージを一気に最高潮へと押し上げました。