蚊に刺されたときの皮膚反応は、蚊が吸血する際に血液凝固を防ぐために注入する「唾液腺物質(ポリペプチドや各種酵素)」に対する人体の免疫反応によって引き起こされます。しかし、この反応の出方には個人差があり、年齢や過去の刺傷歴、体質によって劇的に異なります。
通常の虫刺されでは、刺された直後から痒みや発赤が現れて数時間で引く「即時型反応(I型アレルギー)」か、刺された翌日以降に赤く盛り上がって痒みが強くなる「遅延型反応(IV型アレルギー)」のいずれかが軽度に出るにとどまります。これに対して、いわゆる蚊アレルギーの症状では、蚊の唾液成分に含まれる特異的抗原に対してIgE抗体やT細胞が極度に過敏な反応を示します。その結果、刺された局所を中心にして毛細血管の透過性が異常に亢進し、皮下組織に大量の滲出液が漏れ出して激しい浮腫(むくみ)と熱感を伴う硬結が形成されます。
特に蚊アレルギーと一般的な虫刺されの違いとして顕著なのは、腫れの広がりと持続時間です。通常の虫刺されであれば直径1cm〜2cm程度の紅斑で収まり、2〜3日もすればピークを越えます。しかしアレルギー反応を起こしている場合、手首を刺されただけで前腕全体がパンパンに膨れ上がり、皮膚が張り裂けそうなほどの緊満感と熱感を帯び、ピークを迎えるまでに刺傷後24時間から48時間を要することも珍しくありません。