1997年3月21日、ソニー・ミュージックレコーズからリリースされた『1/2』は、まさに激動の渦中で産声を上げました。前作『DNA』で手応えを掴み、業界内外から次代を担う異才として熱視線を浴びていた彼女のもとに舞い込んだのが、大ヒットアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のオープニングタイアップでした。先行する主題歌は、JUDY AND MARYの『そばかす』というミリオン級の金字塔。プレッシャーが渦巻く制作現場で、彼女は妥協のないオリジナリティを突きつけます。
当時の音楽プロデューサーや制作スタッフの回想録によると、彼女がスタジオに持ち込んだ初期デモテープは、ピアノやアコースティックギターの弾き語りによる生々しいテイクでした。息をつく暇もなく言葉が連打される独特のフロウは、従来の歌謡曲的なメロディラインとは一線を画しており、アレンジャーの石川鉄男氏とともにスタジオで試行錯誤が繰り返されました。デモ段階の荒削りなエネルギーを殺さず、いかにJ-POPのフォーマットへ落とし込むか。結果として完成したトラックは、躍動するブラスセクションとファンキーなリズム隊、そして切り裂くようなアコギのカッティングが融合した唯一無二のサウンドスケープを獲得しました。
アニメ第39話「逆刃刀の由緒〜黒笠との死闘の終焉」のタイミングで初放映されると、視聴者の反響は爆発的なものとなりました。物語が最もシリアスかつ壮大な展開を見せる「京都編」への突入と期を同じくして流れたこの楽曲は、主人公・緋村剣心の抱える孤独や、神谷薫をはじめとする仲間たちの揺れ動く感情と奇跡的なシンクロを見せます。オリコン週間シングルチャートで初登場2位を記録し、最終的な累計売上は約73万2,000枚に到達。アニメソングが一般チャートの最前線で文化的主導権を握る時代の決定打となりました。