豚肉を生や生焼けの状態で摂取した場合、食中毒の症状が現れるまでの時間(潜伏期間)は、原因となる病原体によって劇的に異なります。「食べてから数時間何もないから安心」と即断することは極めて危険です。
臨床現場で確認される発症タイムラインは、主に以下の3つのフェーズに分かれます。
第一のフェーズは、食後数時間〜24時間以内に現れる急性症状です。ブドウ球菌毒素やウェルシュ菌などが関与している場合、数時間から半日程度で激しい吐き気、嘔吐、腹痛が発生します。
第二のフェーズは、食後1日〜1週間前後で発症する細菌性感染症です。代表格であるサルモネラ菌は6〜72時間、カンピロバクターは2〜5日(最長7日前後)の潜伏期間を経て、38℃を超える発熱、差し込むような強い腹痛、水様性の激しい下痢や血便を引き起こします。
第三のフェーズは、忘れた頃にやってくる数週間〜数か月後の長期潜伏型です。後述するE型肝炎ウイルスは感染から発症まで平均6週間(2〜9週間)を要し、全身の倦怠感や黄疸、褐色尿といった肝炎症状で現れます。