毎日の生活で消費される電力は、一体どの家電に奪われているのでしょうか。経済産業省資源エネルギー庁が公表する一般的な家庭の電力消費実態調査をベースに、単身世帯の家電別消費電力の内訳を分析すると、全体の約7割以上がわずか3〜4種類の機器によって占められている事実が浮かび上がります。
筆頭に挙げられるのがエアコン(空調機器)です。年間を通した電力消費比率では全体の約25〜30%程度ですが、酷暑期や厳冬期に限れば、その割合は月間電力消費の40〜50%近くまで急伸します。一人暮らしにおけるエアコンの1ヶ月の電気代は、冷房であれば月間約2,500円〜3,500円程度で収まるケースが多い一方、冬の暖房稼働では月間4,500円〜7,000円前後まで膨らむ計算になります。この差を生むのは、設定温度と外気温との温度差(デルタT)です。外気温35℃の室内を27℃へ下げる差が8℃であるのに対し、外気温2℃の室内を20℃まで温める差は18℃にも達するため、暖房運転時のコンプレッサーには冷房時の2倍以上の熱負荷がかかります。
第2の元凶は、24時間365日休まず稼働し続ける冷蔵庫です。家庭全体の消費電力の約15〜18%を占めており、一人暮らし向け(120〜160リットル程度)の小型冷蔵庫であっても、年間消費電力量はおおむね300〜380kWh程度に達します。金額に換算すると、冷蔵庫の電気代は一人暮らしで月額約800円〜1,100円を確実に計上し続けています。意外な盲点として、小型の2ドア冷蔵庫は省エネ基準達成率が大型ファミリー向けモデルよりも劣ることが多く、容積の割に電力を食う傾向がある点には注意が必要です。
そして第3の要素が、給湯設備・温水洗浄便座・照明器具です。特に電熱線ヒーターを用いる家電は消費電力が跳ね上がります。一方で、過剰に気にされがちな待機電力の削減効果について冷静に検証すると、現在の待機電力比率は家電の省エネ進化により全体の約5%程度にとどまります。家中のプラグを頻繁に抜き差ししても、浮く金額は月額150円〜300円程度にすぎません。コンセントを抜く労力に対して得られる実利は極めて小さく、注力すべきは明らかに「熱を生み出す大型家電」の運用であることが分かります。