ビルの間を跳び移る派手な動画ばかりを見ていると「怪我と隣り合わせの無謀なスポーツ」に見えるかもしれない。だが、熟練したトレーサーたちの負傷率は、実はラグビーやサッカーといったコンタクトスポーツよりもはるかに低い。
秘密は「退く勇気」と「地味な基礎」の徹底にある。
彼らは跳ぶ練習を始める前に、何百回、何千回と「正しい着地」と「失敗したときの転がり方(パルクール・ロール)」を復習する。衝撃を分散し、万が一の滑落時にも頭部を守る動作が本能に刻み込まれているのだ。
これから始めたいと考えているなら、いきなり街のコンクリートに向かうのは間違いだ。まずは専門の指導者がいるパルクールジムや自治体の体験教室を訪ねるのが鉄則。自分の体力を客観的に知り、安全なマットの上で基礎動作を身につけること。それが一生楽しめる身体を手に入れる最短ルートだ。