防衛省は近年、防衛の空白地帯とされてきた南西地域への部隊配備を急速に進めてきました。なかでも台湾本島からわずか約110キロメートルの距離に位置する与那国島では、沿岸監視隊に加え、地対空誘導弾(SAM)部隊や電子戦部隊の配備計画が進展し、まさに抑止力の最前線となっています。
現地取材や報道各社の現地レポートによると、与那国島や石垣島、宮古島に配備された12式地対艦誘導弾(能力向上型含む)の部隊は、相手国の艦艇が宮古海峡を通過することを防ぐ「第一列島線」のチョークポイントを押さえる役割を果たしています。
しかし、防衛インフラの急速な増強に対し、現地住民の間では複雑な葛藤が続いています。住民説明会や地元自治体の議会記録では、「抑止力として部隊配備は不可欠」とする声がある一方で、「真っ先に敵の攻撃目標にされるのではないか」というシェルター整備や避難計画への不安が根強く存在します。有事における島民数万人の島外避難(九州方面へのピストン輸送)の実効性確保は、自衛隊の後方支援能力を大きく圧迫する極めて深刻な現実課題です。